東日本大震災から5年が経ちました。津波被害の大きさに気づき、高台へ避難することの重要さを知ってから、実際に高台へ避難する訓練をはじめて5回目となります。
小野田めぐみ幼稚園は「最大クラスの津波が悪条件下で発生した場合に想定される浸水の区域」にはありませんが、津波警報が発令された場合は、予想される津波の高さより高いところへ子どもたちを避難させたいと考えています。
津波浸水想定図の説明には「地震・津波は自然現象であり不確実性を伴うものであることや、現在の科学的知見には限界があることなどに留意する必要があります。」とあります。
山口県津波浸水想定図
津波警報発令。園庭に集合。点呼、人員確認。救急箱、緊急連絡先、最低限の着替えなどを準備。
年長児と年少児をペアにして、すぐに出発します。津波から逃れるために時間とのレースです。
園の横にある小路を進みます。前に見える丘は国道190号線。
高台への最短距離を進みます。
第一の階段。この階段を登りきれば標高10m。津波から逃れるために必要な高さです。
子どもたちは自分の足で登ります。
「だっこ」「おんぶして」という子は誰もいません。
この階段の大切さを感じてくれているのでしょう。
高台に上がったら、小野田中学校を目指して歩を進めます。
昨年はなかった場所に信号と横断歩道。
「みぎよし、ひだりよし、みぎよし、てをあげて」
6月6日に行った交通安全教室での体験が生かされました。
そして第二の階段。疲れた足に力をこめて一段ずつ踏めしめて登っていきます。
「がんばれー!」 年長児が年少児に声をかけてくれました。
自分も疲れているだろうにペアの年少児を励ましてくれる姿にジーンと心がしびれます。
「せんせい、そら、あおいよ」
「ほんとだね」
「くもは、しろいね」
「くもが、かぜにながされていくね」
標高16.3m。小野田中学校入口に着きました。
最後まで歩こうね。
片道1.3km。
校長先生から「今年もよくがんばって歩いて来てくれました。すごいね」とほめて頂きました。
「よろしくおねがいします」
体育館のトイレを使わせて頂きました。
靴もきれいに並べることができています。どんな状況にあっても、身の周りのことで自分でできることは自分でできるように。
体育館のロビーを行きかう子どもたちの姿が小さく見えます。
実際に避難することがあれば、手すりの高さ、トイレの便器の大きさなど課題はあります。それを事前に経験しておくことで、心構えもできますし、準備を考えることにつながります。訓練のたびに新しい気づきがあります。
お楽しみのお弁当ですよ。今日はおやつももってきています。
「のんびりするねぇ」
「くつろぐなぁ」
「いやされるねぇ」
小野田中学校の皆様、お世話になりました。
「ありがとうございました」のごあいさつして、中学校を出発です。
すこしのんびりしたので、ずんずんと帰りましょう。
第二の階段を降ります。子どもたちと先生たちが声をかけあって気をつけて降ります。
「いそがなくていいよ」
「おちついて、いっぽずつだよ」
道端に草イチゴ?を見つけました。
「たべられるんかねぇ??」
国道ぞいの歩道を歩きます。
みんな疲れが出始め、隊列が長くなりはじめました。
こんな時こそ、年長児のお世話さんの出番です。
遅れがちになる年少児の手をしっかりつないで前へ進めてくれます。
第一の階段の降り。疲れた足は思うように動きません。
手すりをしっかり持って一段ずつ降りていきます。
階段は登るより降りる方が難しい。
園に戻ってきました。子どもたちから「ほーっ」と安堵の声が聞こえてきます。
往復2.6km。がんばって、全員完歩しました。
今年の防災避難訓練はこれで終わりです。
皆様、ご協力ありがとうございました。
これからも避難訓練は継続して行いたいと考えています。また今後、災害時の「保護者への引渡し訓練」も検討したいと思っています。子どもの生命と身体を守るために、保護者をはじめ地域の皆様のご協力、よろしくお願い申し上げます。